メロウ

先日、もう二十年ほど会っていない、そしてこの先も二度と会うことはないであろう昔の知り合いをSNS上で偶然見かけた。

接点があったのは彼がまだ中学生だった頃。
意思が強く無口で、古くさい表現をするならば「硬派」だった彼は、二十年経った今、SNSのホーム画面に自身の結婚式の写真を載せていた。

もうそれなりに永いこと生きているので、今は疎遠になった昔の知人というのはたくさんいる。
また、そもそもすれ違う程度の接触だった人もそれこそ掃いて捨てる程にいる。

それらの人たちともうこの世で会うことは二度とないだろう、と当たり前に思う。
本気で会おうと思えば会える人もいるだろうが、そんなことはしない。
だってそういうものだから。

満面の笑顔で新婦と並ぶ彼を見て、それ以上は踏み込まずにそっと画面を閉じた。
もう、見ることはない。

人はみんな誰かの生活を通りすぎるし、誰かが自分の生活を通りすぎていく。
その先は互いに知る由もないけれど、そこにあるのが色でいえば淡い橙色のような、そんな暮らしであったならいい。