平成昔話

いっちゃんは中学校の先輩で時代錯誤なヤンキーだった。 ミニスカ腰パンが制服の着こなしの定番だった時代に、校内でただ一人短ランボンタンスタイルのいっちゃんが浮きまくっていたのは言うまでもない。そんなファンシーな出で立ちで果たしてクラスに溶け込…

メロウ

先日、もう二十年ほど会っていない、そしてこの先も二度と会うことはないであろう昔の知り合いをSNS上で偶然見かけた。接点があったのは彼がまだ中学生だった頃。 意思が強く無口で、古くさい表現をするならば「硬派」だった彼は、二十年経った今、SNSのホーム…

人生謳歌

リビングの窓から差し込む陽光が 無垢の床を斜めに走る。へこみ傷を辿りながら降り注ぐ先は 鉢植えの黒法師。その真っ黒な葉の一枚一枚が輝いている。 つるりつるりと輝いている。

怠惰精神

もしも神様が何でも一つだけ願い事を叶えてくれると言うのであれば、 「幸せにしてください」 と願えばいい。という昔のわたし。 そうねと思う今のわたし。

日常のなかのトラウマ的妄想

ご先祖さまが虫の姿で帰ってくるよ。諸説あるお盆に殺生してはいけない理由について、わたしは子供の頃にこう教えられた。 親戚の集まるお盆休みの食卓には肉も魚も並んでおり、虫だけが特別扱い。 …虫以外の殺生について無頓着だったのは地域性だろうか。昨…

拝啓 ○○○

むかし、とても好きで数年に渡って追いかけていたブログが閉鎖したことがある。彼女はそれまでのエントリを全て消去しブログの閉鎖を告げると、 「皆さま、死ぬまで楽しい人生を」 という言葉を残して去っていった。 とても賢く、その賢さ故に社会を要領よく…

結論、美味しく食べられる人に食べてもらう

蛤が苦手だ。食べ物として。身を丸ごと食べるということにとてつもない抵抗がある。蛤の身体を形成するありとあらゆる器官を、そして内臓に含まれているであろう何らかを、丸ごと全て食べるのだ思うとどうしても口に入れることができない。 いったいこれは何…

よくあるはなし

一緒に祈りましょう。 そうすればすべての願いは叶い、世界は平和になります。という口説き文句でもって、某宗教に入会するよう誘われたことがある。転職したばかりでまだ右往左往していたわたしに、会社のことを教えてあげるから仕事終わりにお茶しましょう…

色褪せた思い出

ガタンゴトン、ガタンゴトン、19:10 電車に乗ってユラユラ揺られる。 車内の客はバラバラまばら。「お金って、どうにかしてなくならないかなぁ」 「…お金?」 「この世からお金なくならないかなぁ」 「うん?」 「人間も動物なんだしさぁ、なんていうか、こう、食べた…

虫問題以前の問題

わたしはジャングルに住んでいます。 わたしの家はジャングルです。観葉植物が大好きだけれど育てる才能がないのかすぐに駄目にしてしまう。「植物のある生活」みたいな本に書いてある育てやすさ評価みたいなのを全く無視して、わたしのお気に入りの植物ほど…

またひとつ、歳をとる

屋上駐車場、絶壁にて。父が用事を済ませる為に車の運転席を離れ、助手席でおとなしく留守番する私。 エンジンは切られているが、キーは刺さったままだ。 うつむいてぼんやりしていると、ふと感じる違和感。 おや?と思って顔をあげ、更におや?と思って目だ…

絶対装備

なにがそんなに気に入らないのか。抱っこする腕の中でのけ反って手足を激しくばたつかせながら、この世の終わりとばかりに泣きわめく我がこ。 どうなだめてもおさまらない、これが黄昏泣きってやつ?? あー、そういえば薄暗くなってきたじゃないの。 洗濯物…

遊び心の範疇で

B型の人が好き。 などというと、血液型と性格関係ないし!と憤慨する人がいて、そういう人は血液型と性格を結びつけた事柄でなにかしら嫌な思いをした経験があるのかも知れないし、根拠のない憶測が許せない人なのかもしれないし、あんまり乱暴なことは言う…

分かつ世界

近視、近視。 裸眼で読書を試みるなら、眼前5㎝に本を近付けなければならないほどの。もう10年以上、コンタクトレンズと眼鏡を併用していたのだけれど、ここ数ヵ月は眼鏡ばかりで過ごしていた。 お風呂にすら持ち込んで(すぐに雲って使い物にならないけど)う…

フェティシズムとか一目惚れ、というよりインプリンティング

「いらっしゃいませー」 友人の誘いでアルバイトをはじめたのはたしか二十歳のとき。 某ショッピングモール内のフードコートにあるデザート系を扱う飲食店だった。この頃のわたしは一人の時間をこよなく愛し、他者との接触に興味がなく、極力家から出たくは…

過日

子供が産まれた。 私が、産んだわけだけども。妊娠中も出産時もトラブル続発で、でもそれらは何も珍しい事柄ではないと知って、あぁ、妊娠・出産って本当に命がけなのねーと心の底から思った。もともと子供好きというわけではない。 子供だから好きという感…

私は今、一番遠いところ

大学に通っていた頃、全くの専門外だったけれど、単位の都合で哲学の講義を選択していた。先生はタートルネックのセーターを着て、髪をキチンと整えた人で、私はそのいかにも哲学を教えそうな風貌が割と気に入っていたし、講義の内容も悪くなかったので、さ…

すべてがわかるわけではないの

キーワードをパパっと入力さえすれば目的の対象を簡単に検索し、知ることができる。 インターネットって便利、便利な世の中になったものだなぁ。18才、女子高生。 制服に合わせる靴下はルーズソックスがまだまだ主流で、でも、紺のハイソ派もちらほら現れ始…

眠れないのではなくて眠りたくないのだ、たぶん。ああ、久しぶりだなぁ、この感じ。どうせ朝には忘れてしまうのだけれど。

少女の日の思い出

その昔、私がまだ高校生だったころ、同じクラスの女の子からとっても重大な告白をされたことがある。それは、ある日の授業中、その子から回ってきた手紙に何でもないことのようにさらりとしたためられていた。クラスメイトととして会話をすることはあったけ…

愛の行方

猫が好き。 たまらなく好き。好きすぎて好きすぎて、この世に存在するすべての猫が幸せに人生を全うできないのであれば、将来的には絶滅しちゃってほしいと願うくらいに好き。この世から猫が消え、その愛らしい姿を愛でることができなくなるのは悲しいことだ…

エクステンションアテンション!

妖精のいたずらでもなく、ちっさいオッサンの仕業でもなく、偶然の産物であることはわかっているのだけれど。ある日、ふと横を向くと、見慣れた人物の頭髪に感じるかすかな違和感。 あら?何やらゴミが付いている、と思い、手を伸ばして取ってあげようとする…

のびのびこ

髪を、切らねば。あー、なんで髪の毛ってあるのかな。宇宙人みたいに髪の毛なんてなけりゃいいのに。 もしくはネコみたいに毛ダルマならいいのに。湿気、湿気ぇぇ…。

疑わぬが仏

魚には痛点がないよ、だから痛みを感じないよ。 という定説を鵜呑みにしていたので、鯛の活き造りとか、シロウオの踊り食いとかを「……」くらいの気持ちでスルーしていたのに。所詮人間の知力の範囲で調べた結果(らしきもの)で、事実は魚のみぞ知るだな、と…

かわいそうだね?

久々の読書。未読本の山を尻目に、 綿矢りさ、 やっぱり好きだわ。好きだわー。

戦隊もの?いいえ、プロレスでした

お風呂につかりながらうたた寝。束の間みた夢の中の会話で、 「獣神サンダーライガー」むむむ。。

新訳

フラニーとゾーイーはフラニーとズーイになったのか。

もっとああしておけばよかったな、とか。 あれはしなければよかったな、とか。目の前まで来ているはずと分かっていても、その只中に置かれないとエンジンがかからないというダメな性格。どうか、どうか、どうか。 太陽のキラキラとした光を、ただただ美しい…

なけなし母性

ある日のこと、究極の愛情表現ってなんだと思う?となぞなぞのような問い掛けをされたので「食べる」と即答したところ、ドン引かれた。多分ね、母性だと思う。 …出産経験ないけどね。胎内に戻してしまいたい、みたいな。 …子宮じゃなくて胃だけどね。模範解…

熱電導率(高め)

情熱っていう熱。音楽が好きでギターを買った。 楽器屋の教室に通ってベースも手に入れた。読んだ本が素敵で同じ作家の本を全て読んだ。 解説を寄せているだけのものまで読んだ。サッカー観戦が面白くてあちこち通った。 高校卒業の日も式が終わると一目散に…