分かつ世界

近視、近視。
裸眼で読書を試みるなら、眼前5㎝に本を近付けなければならないほどの。

もう10年以上、コンタクトレンズと眼鏡を併用していたのだけれど、ここ数ヵ月は眼鏡ばかりで過ごしていた。
お風呂にすら持ち込んで(すぐに雲って使い物にならないけど)うっかり眼鏡をかけたままで床についてしまうなど、すっかり眼鏡生活に馴染んで、眼鏡越しこそが私の世界になっていたのだけれど、わけあって数日前に久々にコンタクトレンズを装着した。

そしたら。

こ、この世のすべてが何だか大きい。
見るもの見るもの全てが、眼鏡越しよりも2割増しで大きい。
ハッキリ見えるとかそういうことではなくて、明らかに大きく見える。
前日まで小さかった我が子が何だかパンパン。
急に成長してしまったかのように。
これは…。

コンタクトレンズ越しが大きく見えるのか、もしくは眼鏡越しが小さく見えるのか。
はたまたその両方か。
見えない裸眼との比較では確かめようもなく。

少しずつ実際のそれとは異なる世界で、どうやらわたしは生きている。