エクステンションアテンション!

妖精のいたずらでもなく、ちっさいオッサンの仕業でもなく、偶然の産物であることはわかっているのだけれど。

ある日、ふと横を向くと、見慣れた人物の頭髪に感じるかすかな違和感。
あら?何やらゴミが付いている、と思い、手を伸ばして取ってあげようとするも取れない。
あらら?よく見てみると、長さにして5ミリ程度のほぐした糸のような毛羽だった白い繊維が髪の毛の1本にしっかりと結ばれている。
なんと器用な…。

根元でプチンと切り、本人にも見せてあげると、おーっとなる。
すごいね、タオルケットの繊維かな?寝てる間に偶然絡まったのかな?

すごい貴重なものを見た気分でホクホクしていたのだけれど、滅多にお目にかかることがないというのが有り難みの前提条件なわけで。

それから毎週のように同じものを発見するようになり、何なら2本見つかることもあって、すでに食傷気味というか、もはや驚きもない。
探して見つけるわけでもなく、ふと見ればそこにあるんだもの…。

しかし、同じ寝室で揃いの寝具で寝ているのに、なぜ私にはこの謎の現象はおきないのか。
髪の長さや質の問題なのか、寝相の問題なのか。

こうなると、髪の毛に繊維が偶然結ばれる奇特な寝相を夜毎繰り返している、と考えるよりも、妖精やちっさいオッサンが意図的に結んでいる、と考える方が自然ではないのか。むしろ。物理的に。

人間にとっては5ミリの繊維でも、彼等にとってはかなりの長さだろうから、それを結びつけるなんて容易いはずだもの。

先方は恐らく、美容師見習いかなんかじゃないかな。
業務終了後の練習なんじゃないかな。
そっちの世界では今ブームなんじゃないかな。
なんてファンシー!
なんて。

けれども。
さすがに一晩で10本くらい出来てたり、ましてや繊維がカラフルになったりしたらちょっとヒヤッとすると思う。